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投資の世界で「世界三大利殖」と言われている、方法があるのをご存知でしょうか?
「サヤ取り」「サヤ滑り取り」「オプション売り」のことをその様に言われています。
山崎種二氏が、サヤ取りで巨万の富を築き、山種証券(現名称SMBCフレンド証券)を創設したのは有名な話です。
今回は、この世界三大利殖の中で始めに挙げられている「サヤ取り」をFXの市場で有効に使い、無理なく利益を上げる方法を書いて行きます。
FXのトレード方法に悩まれている方は、ぜひこの記事を参考にして、取引手法の一つとして研究されてみてはいかがでしょうか?
この記事で分かること
- サヤ取りでの投資方法
- サヤ取りでどの通貨ペアで行うのがいいのか
サヤ取り投資法とは?
FXでリスクなく勝つなどと書きますと、夢物語だ!眉唾だ!怪しい!と感じられると思いますが、最後までお読み頂けますと、「なるほど」と、ご納得いただけると思います。
サヤ取りは「裁定取引」「アービトラージ」とも言われ、堅実で安全な取引方法の一つになります。
2種類の通貨ペアのポジションを同時に取得して、サヤの開閉のみを見ていく取引方法です。
この取引方法で重要なのは「相関係数」と「サヤ幅」です。
サヤ取り手法の種類
FXで利用できるサヤ取りの方法には、概ね下記のやり方が有ります。
①相関係数(連動性)の高い通貨間に発生する、サヤ幅の開閉に合わせて売買を行う通貨間サヤ取り
②FXのスワップポインは、同一通貨でもFX業者により異なり、その差額を狙い取りする、異業者間スワップサヤ取り
③チャートに発生する同一通貨が異業者間で異なり、そのノイズ差額を掠め取る、ノイズサヤ取り
※殆どのFX会社は、異業者間、或いは別口座間での、両建ては禁止していますので注意してください。
※「裁定取引」「アービトラージ」と書きますと、FXブローカーが毛嫌いする手法ですが、①の方法は問題ないです。
サヤ取りのサヤを解説
では、サヤ取りのサヤとは何なのかを、解説いたします。
通貨ペアの連動性が高いユーロ/南アフリカランド(EUR/ZAR)と米ドル/南アフリカランド(USD/ZAR)を例にして解説を致します。
上記チャート画像はEUR/ZARとUSD/ZARの日足データを上下に並べて、一番下はサヤ幅を表示するインジケーターで、サヤ幅の変化を見易くしたものです。
サヤ取りの取引方法は、この通貨間の開き具合(サヤ幅)でエントリーと決済を行います。
EUR/ZARとUSD/ZARの相関係数 | |
---|---|
2000年~2020年8月 20年間 | 2000年~2020年8月 20年間 |
2020年1月~8月 本年 | 0.977 |
EUR/ZARとUSD/ZARの間でサヤ取りをする場合の基準は、下記表のサヤ幅を参考にします。
EUR/ZARとUSD/ZARのサヤ幅 | |
---|---|
サヤ幅最大 | 4.727 リーマンショック時 |
サヤ幅最小 | -1.616 2002年2月1日逆ザヤ |
サヤ幅平均 | 1.81 20年間の平均 |
サヤ幅拡大基準 | 2.86 平均値の偏差+2σ |
サヤ幅縮小 | 0.76 平均値の偏差-2σ |
昨年までは相関係数が非常に高く、サヤ幅も適度の範囲で変動をしますので非常にサヤ取りには適しておりました。
※現在も相関係数は非常に高いです
EUR/ZARとUSD/ZARのサヤ幅が2.5以上に開いた時に、EUR/ZARショートとUSD/ZARロングでポジションのエントリーをし、サヤ幅が1.7以下で利益確定決済をします。
私は約3年間この通貨ペアで、コンスタントに儲けさせて貰えました。
当時は、EUR/ZARのショートポジションでスワップポイントが毎日1万通貨(0.1Lot)160円程度、受け取れました。
そして、USD/ZARロングでポジションも米国の政策金利が高かったため、スワップポイントはやはりプラスで受け取れていまして、毎日1万通貨で18円程度もらえました。
※私はEUR/ZARショート3万通貨とUSD/ZAR ロング3万通貨でトレードをしていました。
2020年現在は、米国の政策金利は6月0.25%、南アフリカは3.5%となってしまい、受け取れるスワップポイントはEUR/ZARショート0.1Lotで77円(ロング-269円)、USD/ZARロング-197円(ショート33円)とマイナスに転じてしまいました。
後ほど、現在でもプラススワップになる通貨ペアの組み合わせを紹介いたします。
相関係数(連動性)の解説
相関係数の基準は、2通貨ペア間の値が+1に近付くほど連動性が高い通貨ペアになります。
逆に、-1に近付くほど真逆の動きをする通貨ペアとなり逆相関係数が高い通貨ペアとなります。
通貨ペア間の連動性は-1~+1までの数値で、連動性が表示されることになります。
相関係数で通貨ペアの選択する場合は10年間以上の期間に渡り相関係数が+0.9を超える通貨ペアが最適です。
逆相関で選択する場合も10年間以上の期間に渡り相関係数が-0.9を超える通貨ペアが最適です。
相関係数の低い通貨ペア同士でサヤ取りをしますと、サヤの拡大がどこまで行くか読めませんので不適格です。
注…相関係数が+1と-1では、サヤ幅の変動が発生しませんのでサヤ取りは出来ません。
相関係数の計算方法
エクセルの関数を使い計算をいたします。
相関係数= CORREL(配列1, 配列2)
エクセルで使う関数はCORREL関数を使います。(CORREL関数は2つのセル範囲の相関係数を返します)
配列部分は比べたい通貨ペアの初めの値から終わりの値をエクセルのセル番号で指定します。
サヤ取りに適した通貨ペアの選び方
サヤ取りに適した通貨ペアを選ぶ際に、基準となるのが相関係数(通貨ペア同士の連動性)です。
サヤ取りに適した通貨ペア
①オーストラリアドル/ニュージーランドドル(AUD/NZD)
立地条件や経済の繋がりにより、連動性が高い通貨ペアになります。
A) AUD/NZDの通貨ペアでサヤ取りをする場合
B) 通貨の組み合わせ…AUD/JPY(オーストラリアドル/円)、NZD/JPY(ニュージーランドドル/円)
C) 20年間の相関係数…0.8927
サヤ幅が狭まった時にAUD/JPYをロングエントリーし、NZD/JPYをショートエントリーします。
サヤ幅が拡大したところで、クローズします。
②ユーロ/米ドル(EUR/USD)
世界一流通量が多い通貨EUR/USDの通貨ペアでサヤ取りをする場合は下記の組み合わせになります。
A) 通貨の組み合わせ1…EUR/ZAR(ユーロ/南アフリカランド)、USD/ZAR(米ドル/南アフリカランド)
B) 通貨の組み合わせ2…EUR/TRY(ユーロ/トルコリラ)、USD/TRY(米ドル/トルコリラ)
C) 20年間の相関係数…EUR/ZAR、USD/ZAR=0.947 EUR/TRY、USD/TRY=0.991
現在、コロナショックの影響でサヤ幅が非常に拡大しています。
EUR/TRYショート、USD/TRYロングでエントリーをします。
スワップポイントのマイナスを気にしなければ、大きなチャンスが到来しています。
サヤ幅が縮小しましたら、クローズをします。
※EUR/ZAR、USD/ZARは前項を参照してください。
現在は①AUD/NZDと②EUR/USDの両通貨ペアでサヤ取りトレードをする場合、どちらもスワップポイントをプラスにすることは出来ません。
サヤ取りをする通貨ペアは…USD/MXNショート、USD/CADロング
米ドル/メキシコペソと米ドル/カナダドルの組み合わせを解説します。
USD/MXN&USD/CADの2008年からのデータをエクセルに取り込んでみました。
FX会社への証拠金=50万円
現在レート:USD/MXNショート3万通貨=21.94040、USD/CADロング1万通貨=1.42650
スプレッド:100pips(余裕を見てスプレッド多めにします)
レバレッジ:500倍
USD/MXNとUSD/CADのスワップポイント 注)1万通貨=0.1Lot 1日分 | ||
---|---|---|
ショート | ロング | |
USD/MXNのスワップ | 57円 | -217円 |
USD/CADのスワップ | -29円 | -30円 |
1日に受取るスワップ | 57円×3枚-30円=141円 |
USD/MXNとUSD/CADの相関係数 | |
---|---|
2008年~2020年8月 12年間 | 0.906 |
2020年1月~8月 | 0.961 |
EUR/ZARとUSD/ZARの間でサヤ取りをする場合の基準は、下記表のサヤ幅を参考にします。
USD/MXNとUSD/CADのサヤ幅 | |
---|---|
サヤ幅最大 | 23.892 2020年3月23日コロナショック |
サヤ幅最小 | 8.878 2008年8月5日リーマンショック |
サヤ幅平均 | 14.27 12年間の平均 |
サヤ幅拡大基準 | 20.72 平均値の偏差+2σ |
サヤ幅縮小 | 7.82 平均値の偏差-2σ |
USD/MXNショート3万通貨=21.94040、USD/CADロング1万通貨=1.42650が2008年からのデータで見込める最大の利益金額は3,559,130円になります。
USD/MXNショート3万通貨=21.94040、USD/CADロング1万通貨=1.42650が2008年からのデータで発生する最大リスクは-460,647円になります。
投資資金は50万円で、USD/MXNショート3万通貨と、USD/CADロング1万通貨を同時に保有した場合、3,559,130円の利益が見込め、発生する危険度は-460,647円になります。
※12年間のデータにはリーマンショック時のデータも含まれています。
USD/MXNショート3万通貨でUSD/CADロング1万通貨と枚数に差をつけたのは、USD/MXNショートがプラススワップポイントになり、USD/CADロングはマイナスのスワップポイントになりますので、受け取りスワップの通貨ペアを多くしました。
今回はデータとして、最大の利益と最大のリスクを出しましたが、サヤ取り手法は定めた基準までサヤ幅が開いた時にエントリーをし、同じく基準の数値までサヤ幅が閉じれば決済をする。
その様な取引方法です。
基準の参考として、12年間のサヤ幅平均である14.27のプラス1.5σ19.10でエントリーをし、マイナス1.5σ9.43のサヤ幅でクローズすることをお勧めいたします。
サヤ取りトレードをチャートで検証
MT4のチャートで確認し解説をします。
上記チャート画像をご覧ください。
上段USD/MXNのチャート、中段USD/CADのチャート、下段サヤ幅の開閉を教えてくれるインジケーターです。
コロナウイルスの影響により、USD/MXNは史上最高値をつけ、サヤ幅も開いた状態が何日も続いております。
USD/MXNを3万通貨ショートエントリーし、USD/CADを1万通貨ロングエントリーして、毎日スワップポイント141円受け取りながら、サヤ幅が縮まるのを待ちましょう。
FXはサヤ取りで勝てるまとめ
FXトレードでリスクを回避しながら口座残高を増やす方法として、サヤ取りの解説をしてきました。
サヤ取りは、相関係数が低い通貨ペアでは出来ないのは勿論ですが、相関係数が限りなく±1に近い状態でも取引は出来ません。
±0.9~±0.96程度の相関係数が、最適な数値になります。
サヤ取りに興味を持たれたら、ターゲットとなる通貨ペアの、長期データを入手してエクセルに落とし込み、相関係数とサヤ幅の開閉を調べた後にトレードを始めて下さい。
森 栄一(もりえいいち)
記事は税理士歴10年以上の税理士が監修。もちろん海外FXの現役トレーダー。趣味は旅行と馬。最近はドラクエウォークにはまっています!
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